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子宮頸がん(最新:2019年度版)
「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」2019年度版
子宮頸がん検診ガイドライン2019年度版では、主にHPV検査単独法、細胞診・HPV検査併用法について検討しました。HPV検査を評価した研究のほとんどが死亡率減少効果を指標としていないことから、浸潤がん罹患率減少効果を利益の指標としました。細胞診については、すでに2009年版で評価が終了していることから、今回は不適正割合、対象年齢、検診間隔についてのみ検討を行いました。不利益としては主に偽陽性の増加を評価しました。利益と不利益のバランスをまず評価したうえで、費用/医療資源や受診者の嗜好性を加えて推奨を決定しました。 昨今のガイドラインの国際的な流れを反映し、今回のガイドラインから、証拠のレベルと推奨グレードを変更しました。これまでは推奨Aと推奨Bが、実施を推奨するものでしたが、AとBとの間で推奨の強弱がないことから、推奨Bを廃止し、推奨Aのみを実施を推奨するものとしました。また推奨Cは利益はあるものの不利益が大きいもので対策型検診としての実施を推奨しないというものでしたが、今回から推奨Cは条件付き推奨としました。これは実装する際の条件が解決しない限り実施は推奨できないというカテゴリーです。 国内で、HPV検査を含む検診についての評価研究が実施中のため、今後その研究結果が公開された場合、更新を行う予定です。
細胞診検査(従来法・液状検体法):推奨グレードA
30~64歳での浸潤がん罹患率減少効果の確実なエビデンスがあり、65~69歳でのエビデンスも担保できる。20代についてのエビデンスは乏しいが効果を否定できない。細胞診の不適正検体割合は、採取器具の進歩や採取医の意識向上により改善している。液状検体法では不適正検体割合のバラツキが小さく更に減少が期待できる。対策型検診・任意型検診としての実施を勧める。検診対象は20~69歳、検診間隔は2年が望ましい。検体は医師採取のみとし、自己採取は認めない。不適正検体割合が高い場合、採取器具の変更や液状検体法を利用する。
HPV検査単独法:推奨グレードA
浸潤がん罹患率減少効果のエビデンスがある。評価した研究で得られた効果は、HPV陽性者に対する長期の追跡を含む精度管理体制の構築が前提であり、追跡が遵守できない場合は効果が細胞診単独法を下回る可能性がある。検診の間隔を2~3倍に延長することが可能である。ただし、細胞診単独法に比べて偽陽性が大幅に上昇し、1,000人あたりの偽陽性は42人増加する。対策型検診・任意型検診としての実施を勧めるが、わが国で統一された検診結果毎のアルゴリズムの構築が必須条件である。検診対象は30~60歳とし、検診間隔は5年が望ましい。検体は医師採取を原則とする(注1)。
細胞診・HPV検査 併用法:推奨グレードC
浸潤がん罹患率減少効果のエビデンスがある。評価した研究で得られた効果は、HPV陽性者に対する長期の追跡を含む精度管理体制の構築が前提であり、遵守できない場合は、効果が細胞診単独法を下回る可能性がある。検診の間隔を2~3倍に延長することが可能である。ただし、細胞診単独法に比べて偽陽性が更に上昇、1,000人あたりの偽陽性は101人増加し、3つの手法のなかで最大となる。対策型検診・任意型検診として以下の条件が満たされた場合に実施できる(注2)。細胞診は液状検体法を原則とし、検体は医師採取を原則とする。検診対象は30~60歳、検診間隔は5年が望ましい。
注1:HPV検査単独法の自己採取法については、国内でのエビデンスが不足しており、受診率向上につながるか、精密検査以降のプロセスにつながるかなどのfeasibility研究が必要である。
注2:液状検体の残りを用いHPVサブタイプでのトリアージをするなど受診者の不利益を最小化する方法の確立と対象年齢・検診間隔の遵守、アルゴリズムに精通した婦人科医の確保を条件とする。
有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン(2019年度版)がPDF形式でダウンロードできます。
報告 形式 |
題名 | 概要 |
完全版 | 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン2019年度版(PDF:2.82MB) | 科学的根拠に基づき、子宮頸がん検診の推奨を提示している。 |
エビデンスレポート | 子宮頸がん検診エビデンスレポート2019年度版(PDF:3.9MB) | 子宮頸がん検診ガイドラインの根拠となった研究についてシステマティックレビューの結果をまとめている。 |
「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」2009年度版
細胞診(従来法):推奨グレードB
子宮頸がん死亡率減少効果を示す相応な証拠があるので、対策型検診及び任意型検診として、細胞診(従来法)による子宮頸がん検診を実施することを勧めます。
細胞診(液状検体法):推奨グレードB
子宮頸がん死亡率減少効果を示す相応な証拠があるので、対策型検診及び任意型検診として、細胞診(液状検体法)による子宮頸がん検診を実施することを勧めます。
訂正HPV検査(単独法)・HPV検査と細胞診の同時併用法・HPV検査陽性者への細胞診トリアージ法:推奨グレードI
子宮頸がん死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、対策型検診として実施は勧められません。任意型検診として実施する場合には、子宮頸がん死亡率減少効果が不明であることと不利益について適切に説明する必要があります 。
有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドラインがPDF形式でダウンロードできます。
リーフレット公開のページに掲載しています。報告 形式 |
題名 | 概要 |
完全版 | 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン2009年度版(PDF:7.3MB) | ガイドライン作成のため根拠とその過程をすべて記載している。 根拠となった文献の要約も添付資料に提示している。 |
英文版 | Japanese Guideline for Cervical Cancer Screening. Jpn. J. Clin. Oncol. (2010) Jun;40(6): 485-502 | ガイドラインの概要を英語で解説している |
市民版 | リーフレット公開のページに掲載しています。 |