• がん検診ガイドラインの考え方


  • 対策型検診と任意型検診


     対策型検診とは、集団全体の死亡率減少を目的として実施するものを指し、公共的な予防対策として行われます。このため、有効性が確立したがん検診を選択し、利益は不利益を上回ることが基本条件となります。わが国では、対策型検診として市区町村が行う住民検診が該当します。対策型検診と任意型検診の定義と特徴の詳細はPDF参照してください。
     対策型検診をより精緻化した体制は組織型検診であり、北欧や英国ではがん検診により子宮頸がん・乳がん死亡率減少を達成しています。組織型検診の基本は、有効性の確立した検診を行うことにあります。その他の条件としては、対象の明確化、高い受診率の確保、精度管理体制の整備、診断・治療の提供体制整備、検診受診者のモニタリング、検診の評価が求められています。わが国における対策型検診は、公共政策として行われているものの、組織型検診には至っていません。
     対策型検診の提供体制としては、特定の検診施設や検診車による集団方式と、検診実施主体が認定した個別の医療機関で実施する個別方式があります。住民検診は従来の集団方式から、地域のかかりつけ医を主体とする個別方式に移行しつつあります。
     一方、任意型検診とは、対策型検診以外の検診が該当しますが、その方法・提供体制は様々です。典型的な例は、医療機関や検診機関が行う人間ドックが該当しますが、保険者による予防給付や個人による受診選択など受診形態も様々です。検診方法の選択、精度管理などの問題がありますが、個々の受診者への対応が可能となるという利点もあります。


    表4 対策型がん検診と任意型がん検診

    検診分類 対策型がん検診
    (住民検診型)
    任意型がん検診
    (人間ドック型)
    Population-based screening Opportunistic screening
    基本条件 当該がんの死亡率を下げることを目的として、公共政策として行うがん検診 対策型がん検診以外のもの
    検診対象者 検診対象として特定された集団構成員の全員(一定の年齢範囲の住民など)
    ただし、無症状であること。症状があり、診療の対象となる者は該当しない
    定義されない。ただし、無症状であること。症状があり、診療の対象となる者は該当しない
    検診方法 当該がんの死亡率減少効果が確立している方法を実施する 当該がんの死亡率減少効果が確立している方法が選択されることが望ましい
    利益と不利益 利益と不利益のバランスを考慮する。利益が不利益を上回り、不利益を最小化する 検診提供者が適切な情報を提供したうえで、個人のレベルで判断する
    具体例 健康増進事業による市区町村の住民対象のがん検診(特定の検診施設や検診車による集団方式と、検診実施主体が認定した個別の医療機関で実施する個別方式がある)  検診機関や医療機関で行う人間ドックや総合健診
    保険者が福利厚生を目的として提供する人間ドック




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