概要
がん検診の有効性評価(アセスメント)
がん検診として、有効と判断するには、死亡率減少効果を示す適切な根拠が必要となります。その根拠は、直接的な証拠と間接的な証拠に基づいています。直接的な証拠とは、研究のエンドポイントを最終結果である生存・死亡とし、死亡率減少効果を評価した研究です。無作為化比較対照試験や症例対照試験が該当します。一方、間接的な証拠とは、エンドポイントを発見がんなどの中間的結果に設定した研究や検査精度に関する研究が含まれます。これらは、個々の研究だけでは検討対象となるがん検診による死亡率減少効果を証明することが困難なことから、複数の研究の集積により死亡率減少効果が示唆されるものです。ただし、精度を検討する上で、がん検診の死亡率減少効果を示す根拠が無作為化比較対照試験により証明されている方法と比較することが条件となります。
がん検診のガイドラインは、内外の研究を系統的に検索し、その根拠となる研究を吟味した上で、作成された科学的根拠に基づくものです。対象となるすべてのがん検診ガイドラインは、定式化された方法で作成します。
がん検診の精度管理(マネジメント)
有効性が確立されたがん検診を実際に導入する場合、対象集団での罹患率、経済性、利用可能な医療資源、他の健康施策との優先度など、他の多くの要因が考慮されなくてはなりません。がん検診の導入に関与する情報を提供すると共に、わが国における受診率及び精度管理に関する対策を検討し、改善を支援します。
さらに、有効性が確立されたがん検診を推進していくためには、受診者の方々にも、がん検診を理解していただくことが必要です。精度管理のためには、受診者の精密検査結果などの追跡情報が必要であり、その収集について、受診者にも理解していただかなくてはなりません。そのためのがん検診に関するパンフレットや説明用スライドなど、啓発ツールを開発し、提供していきます。