トップページ > がん検診の有効性評価 > がん検診の考え方 > 証拠のレベル(2014年度版まで)
証拠のレベル(2014年度版まで)
がん検診の利益である死亡率減少効果を検討した研究を評価し、証拠のレベルを判定します。 研究方法、研究の質、結果の一貫性に基づき、証拠のレベルを決定します。研究方法として、無作為化比較対照試験(Randomized Controlled Trial, RCT)が最も信頼性が高く、観察研究(コホート研究、症例対照研究、時系列研究など)は次善方法となります。 研究の質は、各研究方法の基本条件を備えた研究が最も研究の質が高いと判断されます。各研究方法の基本条件は、研究方法チェックリストを用いて判断します。 結果の一致性とは、複数研究結果は同様の結果を示しているかを検討するものです。複数の研究が、死亡率減少効果に同様の方向性を示した場合、信頼性が高いと判断されます。一方、複数の研究結果に統一性がない場合は、信頼性が低いと判断されます。
証拠のレベル | 主たる研究方法 | 内容 |
1+ | 無作為化比較対照試験 | 死亡率減効果について一致性を認める、中等度以上の質の無作為化比較対照試験が複数行われている |
1- | 無作為化比較対照試験 | 死亡率減少効果について質の低い無作為化比較対照試験が行われている 死亡率減少効果に関する無作為化比較対照試験が複数行われているが、結果が一致しない |
2+ | 症例対照研究/コホート研究 | 死亡率減少効果について中等度以上の質の無作為化比較対照試験が少なくとも1件行われており、かつ死亡率減少効果について中等度以上の質の症例対照研究・コホート研究が少なくとも1件行われている。両者の結果に一致性がある |
死亡率減効果について一致性を認める、中等度以上の質の症例対照研究・コホート研究が複数行われている 死亡率減効果について中等度以上の質の症例対照研究・コホート研究や質の高い地域相関研究・時系列研究が複数行われ、これらの結果に一致性がある |
||
AF組み合わせ | 死亡率減少効果の有無を示す直接的な証拠はないが、Analytic Frameworkの重要な段階において無作為化比較対照試験が行われており、一連の研究の組み合わせにより死亡率減少効果が示唆される | |
2- | 症例対照研究/コホート研究 | 死亡率減少効果について、質の低い症例対照研究・コホート研究が行われている |
死亡率減効果について中等度以上の質の症例対照研究・コホート研究や質の高い地域相関研究・時系列研究が複数行われいるが、これらの結果に一致性がない | ||
地域相関研究/時系列研究 | 死亡率減少効果について,地域相関研究・時系列研究のみ行われている | |
3 | その他の研究 | 死亡率をエンドポイントとしていない観察研究(感度・特異度の算出など)横断的な研究、発見率の報告、症例報告など、散発的な報告のみでAnalytic Frameworkを構成する評価が不可能である |
4 | 専門家の意見 | 専門家の意見 |
AF: Analytic Framework
注1:研究の質については、以下のように定義する。
質の高い研究:バイアスや交絡因子の制御が十分配慮されている研究。
中等度の質の研究:バイアスや交絡因子の制御が相応に配慮されている研究。
質の低い研究:バイアスや交絡因子の制御が不十分である研究。
注2:系統的総括について、質の高い研究とされるものは無作為化比較対照試験のみを対象とした研究に限定される。
無作為化比較対照試験以外の研究(症例対照研究など)を含んだ系統的総括の研究の質は、中等度以下と判定する。
注3:各検診方法を評価するための研究において、死亡率減少効果について一致性を認められない場合には、証拠のレベルを下げることを考慮する。