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がん対策研究所

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なぜ「生存率」ではだめなのか

「生存率」を用いて、がん検診の評価を行うことがありますが、この場合もがん検診特有のバイアスが紛れ込む可能性があります。バイアスとは偏りのことで、真の状況からはかけ離れた状態を示すものです。生存率の評価にはリードタイム・バイアスやレングス・バイアスが紛れ込みます。リードタイム・バイアスは、がんの成長や進展に関与するもので、検診によって発見された患者は有症状のために外来を受診した患者に比べ、がん発見が早いことから、見かけ上生存率が増加することで生じます。(図1)。また、レングス・バイアスは、検診は成長のゆっくりしたがんを見つけやすく、外来患者のがんに比べ予後が良くなる可能性を示しています(図2)。

「発見率」や「生存率」を根拠に新しい検診方法の導入を検討する場合には、こうした問題点を考慮する必要があります。

 

図1 リードタイム・バイアス

リードタイムバイアスの図

 

図2 レングス・バイアス

レングス・バイアスの図