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がん対策研究所

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大腸がん (最新:2024年度版)

「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版

大腸がん検診ガイドライン2024年度版では、わが国で実行可能性があり、臨床的な評価が求められている便潜血検査免疫法と全大腸内視鏡検査について検討しました。両検査ともランダム化比較対照試験によるエビデンスがないことから、観察研究と世界内視鏡学会(WEO)の代替指標評価を用いて大腸がん死亡率減少効果 (がん検診の利益) を調べました。がん検診の不利益として偽陽性、過剰診断、全大腸内視鏡検査の偶発症、精神的負担などを評価し、利益と不利益のバランスを検討しました。便潜血検査免疫法に関しては対象年齢、検診間隔、採便回数を明示しました。
また、推奨グレードに関して子宮頸がん検診ガイドライン2019年度版から大きな変更が2点あります。対策型検診はがん死亡率を減らすために公共政策の一環として実施されるため、科学的根拠が非常に重視されます。そこで、1)推奨Cが「条件付き推奨」から対策型検診では「実施を推奨しない」、任意型検診では「利益と不利益に関する適切な情報を提供し個人の判断に委ねる」へ変更、2)推奨グレードの判断に、医療資源(費用を含む)や受診者の価値観や選好性を含めないことにしました。詳細は「推奨グレード(最新:2024年度版から)」を参照してください。

便潜血検査(免疫法):推奨グレードA

死亡率減少効果を示す十分な証拠があることから、対策型検診及び任意型検診における大腸がん検診として、便潜血検査免疫法を推奨します。
検診開始年齢は40歳を推奨しますが、45歳または50歳から開始することも可能です。一方、終了年齢は74歳が望ましいです。検診間隔を1年から2年にすることができます。採便回数は1回法でも2回法のいずれも実施可能です。

全大腸内視鏡検査:推奨グレードC

全大腸内視鏡検査は死亡率減少効果を示す科学的根拠はあるものの、確実でなく、対策型検診としては勧められません。ただし、全大腸内視鏡検査の利益と不利益に関する適切な情報を医療者と検診対象者が共有し、検診対象者の判断を支援する(Shared Decision Making)体制を整えれば、任意型検診として行うことは可能です。
全大腸内視鏡検査に対する今回の評価は健常者を対象としたスクリーニング検査としての評価であり、便潜血検査陽性者への精密検査や内視鏡治療における重要性は変わりません。全大腸内視鏡検査による検診の死亡率減少効果を調べるランダム化比較対照試験が国内外で進行中です。それらの結果が公表された後に再評価を行います。

有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版と大腸がん検診エビデンスレポート2023年度版をPDF形式でダウンロードできます。

報告
形式
題名 概要
完全版 有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版(PDF:2.53MB) 科学的根拠に基づき、大腸がん検診の推奨を提示している。
エビデンスレポート 大腸がん検診エビデンスレポート2023年度版(PDF:11.8MB) 大腸がん検診ガイドラインの根拠となった研究についてシステマティックレビューの結果をまとめている。
パブリックコメント集 大腸がん検診ガイドライン2024年度版_パブリックコメント集(PDF:1.25MB) ガイドラインのドラフト版に寄せられたパブリックコメントとその回答をまとめている。

「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2005年版

便潜血検査(免疫法):推奨グレードA

死亡率減少効果を示す十分な証拠があることから、対策型検診及び任意型検診における大腸がん検診として、便潜血検査(とりわけ免疫法)を強く推奨します。

全大腸内視鏡検査:推奨グレードC

全大腸内視鏡検査(およびS状結腸内視鏡検査、S状結腸内視鏡検査と便潜血検査の併用法、注腸X線検査)には死亡率減少効果を示す根拠はあるものの無視できない不利益があることから、対策型検診としては勧められません。ただし、安全性を確保し不利益を十分説明した上で、任意型検診として行うことは可能です。

直腸指診:推奨グレードD

直腸指診は、死亡率減少効果がないことを示す証拠があることから、対策型検診及び任意型検診おける実施は勧められません。

有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドラインがPDF形式でダウンロードできます。

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形式
題名 概要
完全版 有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン(PDF:7.3MB) ガイドライン作成のため根拠とその過程をすべて記載している。
根拠となった文献の要約も添付資料に提示している。
普及版 有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン. 癌と科学療法:32;901-915(2005) 完全版からガイドラインの重要部分を集約・簡略化。
市民版 リーフレット公開のページに掲載しています。