• 受診率対策
  •  がん検診受診率について、国全体の代表値となるような公的なデータは2つあります。1つは地域保健・老人保健事業報告で、毎年各自治体でのがん検診対象者、受診者、結果の内訳について報告されています。もう1つは、国民生活基礎調査の大調査で、平成13年からがん検診の受診の項目が含まれ、平成16年が第2回目になります。この調査は、全国から無作為で選ばれた世帯を対象とし、個人にがん検診受診の有無を問うものです。平成13、14年の地域保健・老人保健事業報告、平成13年の国民生活基礎調査によるがん検診受診率を示します(図1)。
    各調査での上・下位3都道府県と受診率をみると、かなりの開きがあることがわかります(表1)。


     これらの調査にはそれぞれ短所があります。前者では、対象者が総数でしか報告されず、性・年齢階級別の受診率が直接求められないこと、職域で実施されるがん検診は含まれていないことが挙げられます。後者では、大調査は3年に1度なので、毎年のモニタリングとするには別調査が必要になること、1年間の受診率がわかりにくいことです。


     米国では、疾病管理・予防センター(CDC)によって、健康問題や生活習慣上疾病と関連する因子についての調査がいくつか行われ、全国規模だけでなく、州、地区レベルまでのモニタリング体制が整備されています。


     これらの、日本での代表的な2調査・報告の比較をすると、肺がん検診を除き国民生活基礎調査の方が受診率が高めに出ています。対象集団が、前者では一般人口全体であるのに対し、後者では、職域での受診対象者が除かれていたりするなど偏りがある集団となっていることが考えられます。このように肺がん検診で国民生活基礎調査が低いことについては、がん検診を実施する事業者の割合が、全国の事業所の大部分を占める小規模な事業所ほど少ないこと、また、肺がん検診は、事業所規模に関わらず、胃・大腸・乳房・子宮がん検診と比べるとはるかに実施事業所の割合が低いことから考えると、胃や大腸ほどには肺がん検診は実施されておらず、ひいては受診者が少ない可能性が考えられます(労働安全衛生特別調査・労働者健康状態調査、2002年)。地域だけでなく職域もあわせてがん検診を効率よく実施していくために、職域でのがん検診についても、地域保健・老人保健事業報告に相当するような、対象者、受診者等が把握できる仕組みが必要と考えられます。



    図1



    表1

    胃がん検診(男女計)
    (40歳以上で集計)
    肺がん検診(男女計)
    (40歳以上で集計)
    大腸がん検診(男女計)
    (40歳以上で集計)
    乳がん検診
    (30歳以上で集計)
    子宮がん検診
    (30歳以上で集計)
    国民生活基礎調査(2001)
    上位3都道府県
    1位 宮城県(43%) 岡山県(33%) 岡山県(33%) 宮城県(31%) 宮城県(37%)
    2位 山形県(42%) 岩手県(26%) 秋田県(31%) 岩手県(27%) 沖縄県(33%)
    3位 新潟県(40%) 鳥取県(26%) 宮城県(29%) 沖縄県(27%) 岡山県(34%)
    国民生活基礎調査(2001)
    下位3都道府県
    45位 石川県(22%) 東京都(11%) 石川県(16%) 京都府(12%) 和歌山県(17%)
    46位 大阪府(21%) 福岡県(11%) 京都府(14%) 石川県(11%) 京都府(16%)
    47位 京都府(20%) 京都府(11%) 和歌山県(14%) 兵庫県(11%) 石川県(13%)
    地域保健・老人保健事業報告(2002)
    上位3都道府県
    1位 山形県(42%) 大分県(52%) 山形県(42%) 山形県(32%) 山形県(33%)
    2位 福島県(29%) 宮城県(52%) 岡山県(33%) 秋田県(25%) 佐賀県(29%)
    3位 岡山県(28%) 岡山県(51%) 秋田県(32%) 鳥取県(24%) 宮城県(27%)
    地域保健・老人保健事業報告(2002)
    下位3都道府県
    45位 大阪府(7%) 大阪府(8%) 徳島県(9%) 東京都(8%) 兵庫県(9%)
    46位 京都府(6%) 奈良県(6%) 福岡県(9%) 埼玉県(7%) 東京都(9%)
    47位 東京都(5%) 東京都(6%) 京都府(8%) 兵庫県(6%) 埼玉県(8%)