リーフレット作成の経緯
  • 子宮頸がん検診リーフレットの作成の経緯

    5名の女子大学生が専門家とともにリーフレットを完成させました

     2008年夏から、医療関係者向けの「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」を一般の方にわかりやすく説明するためのリーフレットの作成が始まっています。
     まず、2009年春に、一般の方8名が作成委員として参加した大腸がん検診リーフレットが公開されました(http://canscreen.ncc.go.jp/ippan/pdf/daichogan_leaf.pdf)。
     続いて、平成21年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の評価とあり方に関する研究」班で「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」を作成中であったことから、子宮頸がん検診に関する、一般向けリーフレットを作成することになりました。
     今回のリーフレットの読者対象は、20代の女性です。日本では子宮頸がん検診を公費負担で20歳から受けられること、子宮頸がんは若いときのHPV(ヒトパピローマウイルス)の性感染が大きな原因となること、また20代30代の子宮頸がん患者さんが増えていることはあまり知られていません。このため、まずはこの年代の人たちに子宮頸がん検診を知ってもらうことが大切だと考えられるからです。
     そこで、作成委員会には女子大学生に参加してもらい、子宮頸がんや子宮頸がん検診について知りたいこと、伝えたいことをまとめてもらって、それを研究班メンバーやライター、グラフィックデザイナーがサポートするという態勢を組むことになりました。

     

    作成委員が決まり、作成委員会を開催

     2009年4月中旬、「科学的根拠に基づくがん検診推進のページ」のサイトや大学生向けのアルバイト募集サイトを通じて、リーフレットの作成委員の募集が始まりました。応募者多数のなか、面接では、個性あふれる学生さんたちがそれぞれ参加の動機を熱心に語り、研究班メンバーは選考に頭を悩ませましたが、大学での専攻なども考慮して、20代前半の女子大学生8名が作成委員となりました。
     6月5日に開かれた第1回の作成委員会では、最初に主任研究者の挨拶、研究班の進める研究やこのプロジェクトの説明がありました。メンバーの自己紹介の後は、早速、作成作業の第一歩として発想法を実施しました。「子宮頸がん検診について知りたいこと」「子宮頸がん検診を受けるために必要な事項」を各自が付箋に書き込み、テーマ毎に分けながら、模造紙に貼り、リーフレットの体裁や内容のイメージ作りをします。
     また、美術大学で油絵を専攻する学生さんがイラストを担当することになり、自身が描いた作品を持参、作成委員に披露し、イラストのイメージについても話し合いました。

     第2回は、「骨盤内臓器の簡単な解剖学」や「子宮頸がん検診のしくみ」について、第3回は「子宮頸がんの検診・診断・治療」と、当時承認間近であった「HPVワクチン」についてのレクチャーでした。婦人科外来が対応する症状はさまざまで、思春期の女の子から高齢者までが受診すること、子宮頸がん検診で使う器具、子宮頸がんの罹患率の推移、HPVについて、など、講義の内容は幅広い範囲に及びました。また、すでに子宮頸がんワクチンが使われている国では子宮頸がんワクチンを打って“ladyの仲間入り”という風潮があることも紹介され、「産婦人科医が女性か男性かに関わらず、気軽に相談できるような信頼関係を築いてほしい」というメッセージもありました。
     第4回は「がん検診の考え方」のレクチャーで、がん検診の種類、メリットやデメリットなどを学びました。その後、この3回のレクチャーのまとめとして、新たに知ったこと、伝えたいことなどを紙に書き出す作業を行いました。
     第5回は、前回に出された「自分の住んでいる、あるいは大学のある市区町村子宮頸がん検診の実施状況を調べる」宿題の成果発表の後、子宮頸がんや子宮頸がん検診に関する既存のリーフレットや記事を評価しました。そして、掲載するべき情報を整理し、今回作成するリーフレットのコンセプトを議論しました。
     作成委員からは「ファッション誌のような表紙にしたい」「病気に関心をもっていると周囲に知られたくないし、取ってすぐに小さなバッグに入れられるような大きさがいい」「女の子らしいイメージにしたい」「子宮頸がんという病気よりも、婦人科の受診の仕方自体を知らせるべき」などの意見が出ました。
     そして、子宮頸がんに関する不安をあおりすぎず、かといって自分には関係ないと思われないためにはどんな文章やイラストが適しているか、また子宮頸がん検診を知らない人に受け方や検診で行われることを正しく理解してもらうためにはどんな情報を出せばいいか、を考えながら、情報を「ぜひ入れたい!」「できれば入れたい」「・・・どうかな?」の3つに分類しました。
     時にイメージが浮かばず、なかなか議論が進まないこともありましたが、作成委員からは「何か大きなことに関われている気がしてうれしい」「仕事なのに、こんなに楽しく勉強させてもらっていいのかな?」という感想も寄せられました。

     

    改訂を重ねて、リーフレット作成が進行、完成へ

     第6回からは、リーフレットの原案を作成していきました。
     まず、これまでの議論をまとめた資料を参考に、サイズ、分量、どんな内容を入れるべきかを話し合います。メンバー自らがキャッチコピーを考え、自分が気に入ったデザインの記事やリーフレットを見せて説明したり、意見を聞きながらラフデザインを描いたりと作業を進め、誰もがHPVに感染する可能性があり、子宮頸がんになる可能性があること、早期発見や早期治療で子宮頸がんが治ること、検診の手順のフローを入れることが決まりました。
     第7回は、前回作成した内容案、ラフデザインを元に、掲載内容を固めました。また、メンバーの美術大学生が描いたイラストのサンプルを見て、どんなイメージのイラストを入れるかも議論しました。
     第8回は、ライターが作成した文章を添削したり、表紙や中のイラストについて検討したりし、リーフレットを形作る作業が行われました。そして、外部評価用の暫定版を完成、メンバーは自分の周囲の大学生に評価してもらうことになりました。また、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスや島根大学、女子栄養大学でも外部評価を実施、第9回以降は、外部評価で出てきた意見を参考に、文章やデザインを洗練させていく作業を行いました。
     意見を言い合い、編集と改訂を重ね、試行錯誤を重ねながらも、だんだん自分たちの思いが形になっていくのを経験して、作成委員にはリーフレットに対する愛着が増していったようです。また、「多くの人と関わってのモノづくりするのは楽しい」という声もありました。
     第5案が出てきた第11回では、メンバーがあらかじめ文章を読んで、考えた変更案を発表、よりシンプルでわかりやすい文章に改訂しました。そして、第12回の11月13日に最終確認を行い、リーフレットは完成。半年に及んだ作業が終わりました。最後には、すっかり親しくなった委員どうし、「楽しくて、終わってしまうのが残念!」とメールアドレスを交換し、大学生活や趣味などいろいろな話題についておしゃべりして、和やかな雰囲気で解散しました。
     また、外部評価に関わった学生さんからも「私たちも、ほんの少しですが、貢献できてうれしくおもいます」という感想も寄せられました。
    完成版は、12月15日に「科学的根拠に基づくがん検診推進のページ」のサイトでPDF版が公開され(http://canscreen.ncc.go.jp/ippan/leaf.html)、印刷版も順次配布が始まっています。

    <作成委員の感想>

    ○参加の動機は?
    子宮頸がんやがん検診について、知らないことや考えたことがなかったので、いい機会だと思って応募しました。
    専門家の監修の下で、自身の意見が反映される、同世代の女性に検診の重要性を訴えられるようなリーフレットの作成過程を実際に体験することができると思ったからです。
    同世代の作成委員からの刺激を受けて、委員同士協力してリーフレットを完成させたいと思っていました。
    ○作成中は何を考えていましたか?
    友人と子宮頸がんの話をよくしていて、どうしたら同世代に検診の重要性を訴えられるか、考えていました。
    先生方の講義を聴いて、検診に行かなかったために子宮を摘出することになったらどうなるかを聞いて、がんの怖さや検診の重要性が分かりました。
    同世代の作成委員からの刺激を受けて、委員同士協力してリーフレットを完成させたいと思っていました。
    ○完成したリーフレットをどう思いますか?
    今回は、対象とする年齢層と性別が限定されていたので、20代女性の感覚を盛り込むという点では、私たち一般の人がリーフレット作成に関わる意味はあったと思います。
    イラストやデザイン、文章も、他のがん検診のリーフレットにはない、20代向けの仕上がりになったことは、大変よかったと思います。
    ○今後への課題は?
    「作りたいリーフレット」の簡単な企画書、スケッチを各々が初期段階で持ち寄ると、各人の意見が視覚化されて、もっと話し合いがスムーズに進むと思います。
    作成委員の人数は、お互いに意見交換ができて話し合いがスムーズにできるので、少人数のほうがいいです。
    議論していると時間はあっという間でしたが、あまり長時間にわたると、疲れを感じてしまうこともありました。会議の日程や時間を短期集中にしても良かったと思います。

    *複数の方の感想をまとめました。



    リーフレット作成の経緯 トップへ戻る


    一般向けリーフレット 作成方法
    一般向けリーフレットの目的リーフレット作成の流れ作成委員の役割
    外部評価委員の役割一般向けリーフレット作成資料